介護保険制度の歩み・前編ーこの制度をつくった世代


【介護保険制度と国民皆保険制度とは異なる】

私は介護業界にいながら現場のことは多少知っていても、そのシステムそのものには非常に疎くしかしながら調べていくうちに、介護保険制度自体が国民皆保険制度とは全く異なる意図と経由を経て確立されたと認識しています。


【みんなの介護】

結構、参考になるのが『みんなの介護』というサイトで、なるほどなと知識を得ている次第ですが、興味深い記事がありましたので紹介します。

 


【逃げ切れ!日本の医療制度ができた年】

現在の介護保険制度を構築した立役者となる中村秀一氏は、東大法学部卒で厚生省に入省し、現在は一般社団法人医療介護福祉政策研究フォーラム理事長/国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科教授らしく、以下のような発言をしています。

(中村秀一)

> 私が入省した1973年は、その前年に認知症の老人の介護問題を描いた小説『恍惚の人』がベストセラーになり、老人福祉の立ち遅れが指摘されました。それと同時に、「福祉元年」とも言われた年です。日本の社会保障においても画期的なことが起こった年でもありました。

まず、1月には老人福祉法の改正によって、老人医療費の無料化制度がスタートしました。 9月には厚生年金法等の改正法が公布され、厚生年金の水準は現役労働者の標準報酬の60%を確保する「5万円年金」が実現しました。年金の給付水準を物価と賃金の変化に対応させる、物価スライド制と賃金スライド制が導入されたのもこのときです。

また、10月には健保法の改正が行われ、家族給付率が5割から7割に引き上げられるとともに、高額療養費制度が創設されています。

彼が入省した年はオイルショックのあった1973年で、堤未果さんの父親の遺言にあった守りたい国民皆保険制度はこの年に確立されたと言っていいでしょう。

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【深刻な財政赤字とは】

結構、この対談につっこみどころが満載なのですが、中村氏の注目の発言は以下です。

(中村)

>今では日本の社会保障、特に国民皆保険制度は世界的にも評価されています、私が厚生省に入省した頃、すなわちこの制度が成立して10年ちょっとの頃は、深刻な財政赤字に陥っていました「国鉄」「米」「健康保険」の3つの頭文字をとって「大赤字の3K」という言葉があったほどです。

ニクソンショックで貨幣に裏付けされるものは貴金属でなく、つまりは不換紙幣であることを知っているにもかかわらず、中村秀一は予想通りおカネを何やらそのものに信認やらなんやらわけのわからに価値があると思い込んでいる、つまりは現在の宿痾となる財政破綻論に基づいた考えをもっている人物に違いないでしょう。

政府の大赤字は民間の大黒字という概念がゼロであり、前提からして間違っていたので今も恐らくそうでしょう。今さら

” 間違いでした ”

と言えるわけないでしょうから。


【都道府県から市町村へ入所措置権を移譲】

そんなこんなで、

>その前年末(消費税導入された1989年)、今日の高齢者介護の発展の口火ともなった高齢者保険福祉推進10ヵ年戦略、通称「ゴールドプラン」が策定され、その実施を促進するための老人福祉法等(福祉8法)の改正が行われたのです。

>ゴールドプランは税金を財源にした措置制度であり、それまで「低所得者」中心だった介護サービスをいかにして国民各層のニーズに適合させ、サービス量を増やしていくかが大きな課題でした。そのためには介護施設の入所措置権を都道府県から市町村に委譲する必要がありましたが、それに向けて福祉8法が改正されました。

となったようです。

都道府県よりも地域に密着している市町村のほうが地域に密着して適しているということらしいです。

これは2006年(小泉政権末期・安倍政権誕生)に「医療改革法」により政府が医療の責任を放棄した軽油と似ており、社会保険庁が責任をもって健康保険を運営していたのを、「全国健康協会」へと運営を移し、つまり都道府県別に財政運営させる流れと非常に似てます。

分かりやすくいれば、福祉の財政運営を中央政府に任せるのでなく、自治体に任せるということです。しかしながら自治体は地方債を発行できても通貨を発行できません。問題はここです。


【消費税に色ついてました?】

(中村)

>ところで、ゴールドプランは1989年4月に税率3%で導入した消費税を財源としたものでしたが、90年代半ばには(1997年の)消費税5%の引き上げを見越して整備目標を上方修正した「新ゴールドプラン」と、少子化対策の充実を図った「エンゼルプラン」が、翌年には「障害者プラン」も導入され、介護サービスの内容は充実していきました。

きましたね。

まず、消費税と社会保障との相関関係があると皆が勘違いしているところで、現在の消費税には色がなくかつての道路特定財源と異なり、用途は社会保障に限定されていませんし、むしろ消費増税すればするほど社会保障は崩壊していくように出来上がっているのです。


【消費税と法人税引き下げの相関関係】

これも当然であり、元大蔵官僚の高橋洋一が嘘ついていないか妄想を抱いていないのなら、消費税増税と法人税引き下げとバーターとなっておりますし、実際に数字がそうなっています。

大企業が中小零細企業や個人事業主や庶民の懐に手をつっこんで、おカネを抜き去っているのです。


【過去を振り返る】

バブル崩壊して不動産も下落しだし、そろそろデフレに入るぞ注意しろという時に、日本はデフレ元年と言っていい1997年に火だるまになってもやるという消費増税を断行し、可処分所得が減れば減るほど消費(C)が落ち込み、消費が落ち込めば企業が儲からず従業員の所得は上がらないしまた消費(C)が落ち込み、企業が儲からないと当然設備投資(I)せず、これでレッセフェールのグローバル化で国際経済がボロボロになると今度は輸出(EX)も落ち込み、つまりは日本経済は20年以上かけて崩壊していくのでした。

以下の図を見れば算数を知っている小学生でもわかることです。


【消費増税はデフレ化対策です】

強制的に徴収される消費税は安定的に貧乏人から搾取する一方で、給料が上がらないから所得税収は減るし、歪んだ税制度で大企業は収益を増やすが法人税を納めず法人税収も落ちるし、そうなると税収全体が落ち込むわけで、結局社会保障そのものが維持できなくなるのです。


【なぜこうなったのか】

税収や保険料だけで社会保障を維持するというプール論に基づくと、こうなってしまうわけです。

おカネそのものに価値があるという考えその前提からして間違っているからして、山本太郎のいうように日本全体が地獄になってしまい、住むところが異なれば、関わる人間が異なれば、子供の7人に1人が貧困で、2世帯に1世帯が貯蓄ゼロで、消費税倍の10%にしたので今後もっと酷くなるでしょうが、こんなことは上層階級では別世界の出来事でしか思えなくなるのです。


【サービスの量の拡大ねぇ】

(中村)

>そうした中、さまざまな論議を経て2000年に介護保険制度が始まり「措置から契約に」転換することによってサービス量の拡大がさらに容易となって現在に至ります

後で紹介しますが、いきなり今の問題だらけの介護保険制度ができたわけでなく、特に消費増税のあった97年の橋本政権時に今の株式参入の災禍となる布石は敷かれていたわけです。


【介護保険制度って株式参入しなくてもできるでしょ】

そもそも「措置から契約」にってありますが、現在、病院って通院するのに各自が選択できますね?

別に国民皆保険制度を維持するのに株式の病院が参入しなくてとも、規制に縛られた医療法人で十分やっていけていますね?

要するに、介護保険制度に株式参入の発想はなくてもできるし、それやって今の介護の問題が山のように浮上しまくったと言えます。

医療法人と社会福祉法人と規制のある範囲内で、事情に精通している医師会のような団体があれば金儲け主義の防波堤となっていたわけですが、

国民皆保険制度」戦前生まれ総力戦で戦った世代らが中心になってつくられた制度

に対して、

「介護保険制度」戦後生まれの砂粒集団の世代らが中心としてつくった制度

なので、つまりは福祉に対してゲゼルシャフトの選択意志を適用して出来た制度であり、本質的な問題はここにあると言えるのです。

つまりは、グローバリズムと深い関係があるのです。

(次回へつづく)


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