山本太郎がMMTを掲げない理由を検討・前編ーMMTの法人税廃止


【法人税を否定するMMT】

山本太郎ってTVでも街頭演説でもMMTと共通している内容のことを話してますが、決してMMTを金科玉条にかかげているわけではありません。

その理由を私なりに述べたいと思います。

今、MMTの入門書を読んでいる途中ですが、まぁ疑問に思う内容の一つが法人税の否定であり、ランダム・レイの師匠のハイマン・ミンスキーも同じ考えで、その原因はポストケインズ派であれ主流派の経済学と同じ共通点があり、または西洋の原罪意識とも関係あり、日本人には理解できない部分があると思います。

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【税の役割】

レイこのMMT現代貨幣理論入門で、1940年代にニューヨーク連銀の議長を務めたニューディーラーのビアズリー・ラムルの論文などをよく引き合いにでしているのですが、西洋のキリスト教のおけるsinの概念が恐らく強く、税というものの罪に対する贖罪、つまりは「悪行」に対して課すべきという意味が非常に強すぎるように思えるわけです。(過去ログで紹介したように真の贖罪は罰することでなく、救うことにあるのです。私はカトリックの洗礼を受けても敬虔なキリスト教者ではありません)

私は税といものは物価を安定させるため、特に①インフレや環境保護などの調整するための機能であり、後は②社会の歪みをカール・ポラニーの中心性の運動つまりは再分配の機能としての役割が強いと思っています。


【西洋の原罪意識】

旧約聖書には、イヴは出産の苦しみ、アダムは労働の苦しみを与えられたとあります。

西洋人にとっての労働は罪人の象徴であり罰でしかないのです。

エデンの園を追放された原罪に対しての罰というのが労働ということになるのですが日本人はまったく異なり、労働(この労って骨を折るという意味があって好きじゃないけど)ってポラニーのいうように営み生活の一部でしかなく、囚人が強制労働しているのと同じじゃないのです。

そこには例えば農家の人が野菜を生産し、ロジスティクスにより調達され、食卓に運ばれる社会学でいう一連の役割分担の意識があると思います。

京アニの『中二病でも恋がしたい!』のあるシーンで主人公がトマトを拒否るシーンがあるのですが、

” トマト農家さんに謝れ! ”

という台詞の中にも、日本人の慣習として残っているのです。

労働に対しては罪からくるでなく、むしろ役割による生産されたものに対する同胞同じ国民に対する感謝がこめられているのです。

日本人だけかもしれませんけど、日本人が外国人に比べてよく働くと言われているのは、ここにあるのだと思います。(ブラック企業の存在によりこれが危うくなりつつありますけど)

税もまた同様でありあくまでも調整機能としてあり、罪⇒罰という西洋的な野蛮な意味でとらえれるMMTはどうかと思います。

 

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【税という本来の調整機能】

この税というものの調整機能としての効果に関してなのですが、日本は20年以上どころか30年近くデフレなわけで、インフレ抑制という調整の必要性などなく、仮にインフレであるとシンクの中の水が溢れ気味であるとするのなら、累進課税によりあるところから無いところへ税で調整する。

そうすることによりインフレ抑制しながら、貧困層を救うという税の調整機能があるわけで、「悪行」対しての罰とはまた少し考えが違います。


【中心性の運動でビスマルクはドイツを統一した事実】

ここが保守派から私が” 再分配厨 ”と揶揄されているところなのですが、それだと中央政府から地方への交付税等なども中心性の運動における再分配であり、これって共同体社会の原理であり、これこそが別々の税率、憲法、州の集まりの合衆国つまりは連邦とは異なる国民国家にも該当すると個人的には思ってます。

今回の台風15号、19号に被害もそうですし、被災地への援助や対策も中央政府が予算つければよくこれも中心性の再分配であり、その逆の運動が分裂の運動、大阪都とか道州制とかの地方分権でそれぞれの州により消費税率が異なり州憲法があり、別の国になっているような状態をいうわけです。

アメリカって世界最大のGDPと軍事力があるわけで、日本みたいに凋落し連邦政府が崩壊するとあんな連邦国はソ連と同じく簡単に分裂するか、ソ連みたいに圧政国家になるかのどちらかでしょう。中心性の運動がないから。

亀井先生も税とはないところからあるところへ渡すというのが原則であると発言しておりましたが、私がケインズ派でありポストケインズ派であれ経済学自体があまり好きでないのは、彼らは現実に触れていない世襲議員と同じくそこに無頓着であるからです。


【日米の違い】

ラムルは海外部門収支を考えなくてもいいことを前提にしているようで、これは私の仮説ですがデフレであると輸出を増えそこから雇用が生まれ、別に法人税なんてなくてもいいだろうというところがあるのかもしれませんが、これって金本位制の縛りと同じでギリシャでデフレが加速化し労働賃金は下がれば競争力が増すとか、経済学特有の物理の法則の均衡モデル大好きな思考回路によるものだとも考えられます。

しかも、インフレのアメリカのことを述べており、貯蓄大好きな日本の国民性と消費大好きなアメリカの国民性とかもあり、日本特有のMMT信者ってやばいものを生み出しそうですが、まぁその前に緊縮の流れを絶つのが先で今話すことではないのかもしれません。


【再分配か事前分配か】

さて、山本太郎がなぜMMTを決して掲げないのかを考察していく中で、その大きな問題となる法人廃止なのですが、ラムルにしてもレイにしても進歩主義者が大好きなのが

法人税

であるとかなり批判的に述べております。

私の偏見なのですが保守派って「再分配」が大嫌いで、「事前分配」が大好きなように思えます。

経済成長して国民の所得が増えて投資により一人当たり生産性が高まり、その結果労働分配率が高くなればそれで労働者は豊かになる。

それが可能だったのは大東亜戦争という総力戦を体験した本田総一郎や松下幸之助といった先代が戦後の社会を牽引していたからであり、戦後生まれのオルテガのいう「甘やかされたガキ」である今の経営者に、先代と同じモラルを求めるだけ徒労に終わるだけです。


【消費税と法人税の関係】

実際、社会のシステムを運営しているのは利害のある集団や個人であり、その結果の消費税導入と増税と法人税減税との相関関係なのです。

これは現象と起こっている事実であり、否定できないところです。


【中央政府と連邦政府の違い】

MMT本に登場してくるリック・ウルフは再分配の負の側面を

①持続しない
②社会的な軋轢を生む。(他人よりも多く支払っているのに、他人よりも公共サービスを受けていない低所得者は福祉に頼る怠け者だと決めつける。これに対して再分配厨は倫理に訴え再分配がなければ格差が拡大し、それが資本主義と社会の崩壊を招くと脅迫する。)
③コストがかかる。大きな官僚組織が必要である。

と述べており、MMTもまたそれを支持しているように思えます。

レイは1970年ごろ、大部分のサービスの提供を州政府・地方政府レベルに移し、それらの政府にそのサービスを租税により賄わせている述べ、裕福な白人は郊外へ脱出して都市の中心部が崩壊してドーナツ化現象が促進されたと批判的に述べています。

だけど、これって単にアメリカが日本とちがう道州制で州ごとに消費税が異なるし、都道府県と異なり州への交付税などがの再分配が成されていない、別々の国集まりのままの合衆国だからじゃないかなと思うわけです。

日本の東京政府は中央政府ですが、アメリカのワシントンは連邦政府であり、アメリカ合衆国はソ連を同じように連邦国でしかないのです。移民で構成された歴史の浅い人工国家だからこうなったのでしょう。


【安部総理と似てるラムル】

ラムルは法人税の廃止の理由に、

株主は法人税がなかった時に比べて減る

と安部総理が国会で

” 下がった株を売却するときにも課税される ”

と同じようなことを述べます。

①インカムゲイン(配当収入)
②キャピタルゲイン(株主配当益)

と二重課税になるというわけです。
だから法人税はダメだと。


【日本の法人税引き下げによる悲劇の惨状】

そして朝日新聞の原真人編集長と同じことを述べています。法人税の大部分は、

より低い賃金と給与と手当て
より高い価格⇒消費者に転換される

となんだかわけのわからないことを述べるわけです。(朝日の編集長はどこかで耳にした言葉をオウムのごとく唱えただけでしょう)

この仮説はインフレで法人税の高かったころ、中間層の厚かったころの日本では明らかに該当しません。過去のデーターに現れています。(国民国家でないアメリカは異なる結果を生むかもしれませんが)

少なくとも、日本においてはインフレ・デフレ時ともに、MMTの見解とは逆の現象がおこっているわけです。

大体、「より高い価格が消費者に転換せれる」って、別の側面では消費者は生産者でもあり、ハイエクやフランク・ナイトと同じレトリック使ってるじゃんとつっこみ入れます。

より実質賃金が上昇すればいいしそのための労働分配率であり、それをぶち壊すのが法人税ゼロ状態なのです。


【法人税あると海外へ企業は逃げちゃう説】

レイは

法人税の大部分が低賃金によって労働者に転換され、高価格によって消費者に転換されると想定すべき

と言及してます。

そして、ラムルは

法人税により企業は税を最小化するための行動をとると主張してます。それが以下です。

借り入れの増加
海外への移転

②は完全にグローバリストのテンプレで使われておりいわば「黄金の拘束衣」であり、数なくとも日本で山本太郎が主張するように2014年の経済産業省の企業にたいする調査からも大変疑わしく、そんな企業にはトランプを見習い、日本で二度と商売できないようすればいいだけです。

大きな政府であれば可能です。


【不労所得という悪行】

①の借り入れに関してですが、そもそも資本主義は銀行に対しての企業の借り入れが前提であり、自家撞着もいいところだと思います。

日本では法人税引き下げにより肥大化する株主配当金と、下がり続ける投資(I)と下がりつづける実質賃金・労働分配率の低下となりこれが消費税(C)低迷となり、これ以外にも法人税引き下げ効果もあることを否定できないわけです。

MMTの手法をぱくれば

法人税は額に汗しない不労所得という悪行に対する罰
法人税は従業員給与に還元しない悪行に対する罰
法人税は投資に回さない悪行に対する罰
法人税は自社株買する悪行に対する罰

ともなんとでも言えます。

国民所得上昇を鈍化させる悪行に対する税ともとらえられます。


【新しい契約】

西洋人はそもそも働くということが原罪であり、不労所得はその原罪から逃れる術であり、これは悪行にならないと思えるのかもしれません。

むしろこれは主流派の経済学に関係してくるし、ポストケインズ派もこの西洋人の潜在意識にあるエデンの園に帰りたいという切望が、可笑しなことを言い出すことになったのだと思います。

皆でエデンの園に帰ればいいのですが、そこでキリスト教の「新約」つまりは新たな契約思想に結びつき、救われるものと救われないものと分かれ、

” 自分らはだけは救済されるそれにふさわしい ”

ということになっているのでしょう。

もうそこには同じ国民という意識はなく、キリスト教で富裕層でグローバリストの認識共同体が強く支配しているといえます。

安部総理と同じ進歩主義者よりも進歩的な間違った認識を、MMTはラムルを引き合いにして発しているように思えます。

(次回へつづく)


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