『約束のネバーランド15巻』ーわざと欠乏をつくる社会


原作『約束のネバーランド15巻』を読んだのですが、大変興味深い内容だったので紹介します。

(以後・ネタばれ注意)

【ノーマンの策略】

大方のストーリは勝手に過去ログ探るなり自力で調べてほしいのですが、簡単に言えばノーマンという食用児の人間側のリーダーが、敵と同盟を結んだり騙しあいを展開して、漁夫の利を得るということしようとしていることです。

ジンメルの集団の量的規定やパワーバランスを展開するリアリストの国際関係論のような内容なので、大変質の高い内容だったと思います。

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【王や貴族の座につこうとする排斥された元貴族の存在】

鬼の世界も一枚岩にいかず、人間の世界と同じくヒエラルキー社会が存在し、王・貴族・平民・その下と明確な身分階層があり特に王家と五摂家が権力をもっており、この王家と五摂家が全農園(人間の牧場)を管理・運営し、人肉の供給ひいては鬼達の社会を運営し支配しているようになっているわけです。

そこに700年前に権力者闘争に負けたギーラン家の元貴族を利用しようということでノーマンは同盟を結ぶのですが、彼らの先祖は追放刑の一種で人肉を許可されない身分となり、鬼は人肉を食べないと退化して野良鬼となってしまうわけですから、農園から市井(しせい)から盗難を繰り返し食いつないで、ギリギリのヒトの姿と知性を保っていたのでした。

ノーマンは鬼のギーラン家の王や貴族への先祖がされて今も社会の隅に置かれてそのリベンジ精神にかこつけんだのですが、人間側のノーマンもかつての食用児の身分の解放を認めさせ人間の世界に危害を加えないと代わりに、ラートリー家を農場の家畜としてささげることを提案するわけです。

そうすれば、貴族や王の座についたギーラン家が退化することもなく、平民に家畜となったギーラン家の存在によりまたギーラン家の子孫が食用児となり退化絶滅を逃れ、しかも鬼の社会を支配できるようになるという企みをくわだてるのです。

ノーマンは同盟を結んだふりをするのですが、いずれ農園全部をこわしてしまえば鬼は退化して絶滅可能となり、それを画策しているわけで、ギーラン家がノーマンらも騙そうとしていることも想定済みで、まさに外交や戦争と同じく騙し合いの展開を繰り広げているのです。

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【わざと万人の救いの道を閉ざす理由】

ここで注目すべきことは、鬼の中に人肉を食べないでも退化しない特異体質がいて、純血の少女の血を与えたれた鬼であり、この少女の存在により鬼は人肉を食べなくても生きることが可能な存在がいるわけですが、それでは

なぜ純血の少女の血により人肉を食べないでよい体質に王や五摂家はしなかったのか?

答えは前述したことから考察すると簡単で、農場を管理する特権があればヒエラルキー社会構造により、王や五摂家は支配階級として君臨できるから、誰もが豊かになる純血の少女の存在なんて絶対に認められないのです。

優位性がなければ平民と同じくリスペクトされなくなるだろうし、そうなるのはまずくなり現状維持をするしかなく、つまりは自分らだけよければいいと思うのでしょう。


【緊縮財政を必要とする階級】

この構図、どこかに見覚えがあるでしょう。

そうです。

主流派経済学の特徴であり意図的に欠乏をつくりその欠乏ゆえに民を支配できる、今のグローバル化した社会の構図とまったく同じで、緊縮財政にもとづく社会の構図と同じなのです。

カールメンガーの飢えのために労働を余儀なくさせるとか、悲惨な境遇の人間になりたくなければ少ないパイの奪い合いをしろという、現在の世界中のグローバル化した社会そのものと同じわけです。

しかしながらレントシーカーとか世襲の家柄だけは特権階級であり、世襲であるなら偏差値低くともアメリカの大学に留学できるし、漢字読めなくとも英語教育を小学校からとかむちゃくちゃな国策を平気に実行できるし、○○でも大臣にも総理にもなれるし、公正な競争自体が幻想で大嘘でしかなく、それはグロートキャッビーカーブからもデーターから読み取れるし、努力したから裕福とかの神話は私たちが騙されているだけで、ほとんどが上位階層エリートのでっちあげた嘘でしかないわけです。

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【世代間格差】

こう述べると、

” このルサンチマンめ! 俺の子供のころは家が貧しかったぞ! ”

という人間もいるでしょうけど、米ソ冷戦状態で経済成長真っ只中の中間層の厚い時代困と今とでは、教育格差も異なればまったく状況が違うわけで、実際生まれた境遇や育った環境とか本人の力ではどうすることもなく、数字として傾向として社会現象として現れているのですから、抽象論とか根性論とかでなくキチンと数字に基づいて反論をしてほしいものです。

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【「もと」を変える】

つまりは、主流派の経済学に基づく思想、社会科学の頂点に君臨する経済学の地位、その理論が思想を形成し都合がよいからそれを支持する大企業側、そして株主の正体で資産をあらゆる形に変え世界中にリスク分散している富裕層つまりは金融階級、これらの特権階級に支配されたアメリカという国、そして祖父の頃からそのアメリカのマリオネットとしてしか生きて行けない世襲の存在。その世襲が日本を動かしているという現実。

これら複雑に絡まった利害関係が今のグローバル化された構図なのだと思うのですが、ケインズがいうように「もと」を支配しているのが思想であり、過去ログで紹介したようなハイエクやフランク・ナイトの新自由主義でもあり、その影響を受けた為政者や実業家や一般庶民がリアルな世界でも実践しているわけで、この大本(おおもと)を先に変えないと政治の場でも職場でもどこだろうが絶対に好転することはないと思います。

故に安倍晋三政権のグローバリストのお家芸「大本営発表」の「おおもと」を変える必要があるのです。

 


P・S

結構、漫画・アニメの話の内容でこういった深い内容のものが折りこめれており、これを子供の頃から頭の中に「もと」として無意識に刻まれているわけですから、次世代につなぐ土台さえしっかりしてれば、あとのことは何も問題ないと思います。

その土台ってのがグローバル化の終焉であり、キチンとして状態で渡すことなんですけど、しかしながら現在数の上では圧倒されているし、同じ日本人から売国奴とかパヨクとか、クニノシャッキンを後の世代にツケを回すなとかいろいろ攻撃受けるわけですから、右から左から後ろから前からどうぞ状態で、私の属性は○門はあっちのためにあるわけじゃないし、結構楽しくないのです。

どこかの特定のイデオロギーに所属した信者なら教祖や教徒や他の信者が守ってくれるのですが、それは次回のブログで。


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