第三勢力②


【アドラー心理学ブーム】

最近、アドラー心理学のブームがまだ多少継続していますが、日本人らしいと思います。

社会心理学者の北山忍先生は、個人主義の欧米の相互独立的自我観が強いのに対して、集団主義の日本人は相互協調的自我観が強いと分析しています。
つまりは、日本人は属性本意であり自分というものを説明するのに、「○○会社の課長」「専業主婦」とか所属する組織や集団が最初にきます。

これに対して、欧米人は「責任感が強い」とか「平和を愛する」とか、個性を重要視するわけです。

アドラー心理学なんて、コモンセンス・共通意識により自我が強制されて、劣等感といったものをバネにして人格向上の動機とするような心理学であり、これは日本人が好む心理学といえよう。

そもそも、日本の社会に病んだ状態はこの極端な集団主義によるものであり、個人レベルでの緊張(ストレス)を蓄積され、これが犯罪やイジメやパワハラと悪化させるものだと分析できます。


【フロイト心理学】

アドラーと対照的な心理学がフロイトの心理学であり、フロイトは幼年期の抑圧された性欲が無意識下の蓄積され、これが成人となっても解消されていない故に、心の病を患うと分析しています。(戦前の東北のルサンチマンと似てます)

要は、この隠された闇の部分に向き合い、トラウマを解消しろというものです。

日本人には不向きです。なかったことにするから。

なんせ、自分の内面に向き合うことは辛く、それよりも常識・コモンセンスに基づく、言ってしまえば、「空気」を規範として行動をとって、劣等感なるものを解消したほうがいいのです。空気を規範した内観、トラウマ解消って不可能です。

長いものに巻かれていれば、社会的地位が高まりその属性により自信をつけ、表面上だけでも一応は解決されます。

フロイトは快感原則を現実原則に置き換えると表現しています。社会的な成功によりこの抑圧された欲求のいくつかを解消するというやつと言ったところでしょう。


【問題を引き起こした次元での対処法】

まぁ、反論もあろう内容でざっくり説明しましたが、私はフロイトの抑圧された性欲とかそういう限定的なものは支持していませんが、幼年期のトラウマ解消は非常に大切だと思います。

ただし、抑圧されたトラウマなり感情なり解放して癒すことが大切でありますが、これだけであると不十分だと自認しておりますが、説明は後で。

一方のアドラー心理学は私はあまり支持しません。そもそも問題を起こした次元でその解決をしようと試みているからです。

欧米人よりも他人の目ばかり気にしている日本人に、更に重病患者を増やす心理学になりかねず、こんなことをしても、より緊張(ストレス)を抱え込み、私が何度も紹介している「攻撃の置き換え」へと発展し、それが子供の社会へも投影され、イジメやスクール・カーストへと発展していると思われるからです。

否定的なものを肯定したところで、劣等感が蓄積され、それが攻撃力となり成功するだけで、深層意識には深い罪悪感を更に加えられ、これがまた負の原動力となり、だから成功した人で貧困者叩きをしている人が多いのは、こういうメカニズムからだと思います。

だって、成功しているのなら貧困者叩く必要もなく、そういった言動は深層意識に深い罪悪感とやらないとやられると恐れを抱いているからであり、彼らの治療が非常に必要なのです。欠乏動機により、常にゼロサムゲームをしているのです。

『蛍の墓』とか見せれば治療になるかなと思うのですが、彼らの多くは熱狂的愛国者である場合が非常に高く難しいといえよう。(私はこの作品で泣けず、非情と言われます)

まぁ、あくまでも私の解釈ですが。

 

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【害しかないストレス】

ストレス社会と言われるぐらいで、ストレスを抱えるのは当たり前とか、多少のストレスは体にいいとか、わけわかりません。(ストレスがないと生きていけない、新谷かおるの漫画『A88』のミッキーサイモンみたいな傭兵中毒と同じです)

なぜなら、ストレスを感じるのは主体であり、ストレスという物理攻撃を与えられるわけではないからです。

スーパーのレジで並んでイライラするのも本人だし、イライラしない人もいるわけで、スマホでも見て熱中すればいいだけなのです。TV番組で韓流タレントが出演してイライラするならチャンネルかえればいいだけです。

緊張(ストレス)と緩和(安堵)の繰り返しは中毒のメカニズムであり、パチンコ・薬物・タバコなどやればやるほどやめられないのです。

だからストレスは害なのです。


【格差を更に生み出すルサンチマン】

社会主義は圧制国家であるからグローバリズムに逆らえない。もう資本主義に甘んじ、自分の不遇も貧困も惨めな現状を受け入れるしかない。

こう自分に言い聞かせても、ストレスはたまるし不満爆発。

こんな、二択の選択肢、変えられない環境の不満が、より弱い者や外敵に矛先を向けることとなり、これは権力者の常套手段であり、今のグローバリズムはこれをうまく利用しているわけです。

生活保護受給者叩きなんて、それを煽る権力者の常套手段です。(成功者の罪悪感をも利用できますから、マキャベリもびっくりです)

(『格差社会と国家の存亡』)


【われわれから彼らへ】

トクヴィルのいう同じ国民という「わらわれ」から、外敵に対して使う言葉の「彼ら」と日常会話に流布されると投票率は低下し、熱狂が高い時だけ上昇するという最悪の現象となって跳ね返ってくわけです。

格差が拡大するとコミニティの参加意識が薄くなり、投票率が低下します。

(『格差社会と国家の存亡』)

権力者はこんなことは熟知しており、ジョージ・オーウェルの『動物農場』の最後は、敵対していた連中のどっちがどっちかわからないというオチが真実であり、権力者はグローバリズムだろうが共産主義だろうが、イデオロギーに関係なく本質的には同じです。(サッチャーもスターリン同様、警察を厚遇してい民の鎮圧に使っていました)


【自己実現の欲求】

話が逸れそうなので軌道修正しますが、アドラー心理学が日本人にとって好ましくないとなると、そこで第三勢力となる経営学に詳しい人なら誰でも知っているマズローの心理学なのです。

マズローは、フロイト心理学は負の部分にばかり注目しているが、もっと正の部分に注目してはどうかと考えたのです。

端的にいえば、経済学が欠乏に基づいている故に陰気な学問だといわれてますが、欠乏動機でない最上の欲求、つまりは自己実現の欲求を満たせるようにうながせばいいというものです。(ブラック企業のOJTは単なる洗脳で、自己実現の欲求とは別です)


【空気をコンパスに人生を歩む】

権力者が支配体系として使う安全なんて低次の欲求であり、所属の欲求も低次の欲求であり、故にコモンセンスに重点を置き、負の劣等感に重点を原動力とするが故に、恐らく閉塞感社会を継続させるだけとなるでしょう。

成功して罪悪感を感じている人や負の感情をバネとしてがんばっている人が、アドラー心理学を読んで「俺は間違っていなかった」となり、しかし不満は蓄積して、苦しんでる弱者に対して

「その悔しさを原動力にして!」

と他者に克服を強要し、しかしそんなことでよくならないからウツになったりするわけで、今度は、

「ウツは甘えているからだ!」

となり、非情にタチが悪いわけです。

そもそも負の原動力って、根本が間違っていると思います。負は癒すもので、克服するものではないのです。ユングのいう抵抗するものははびこるというのは、こういうことなのです。たぶん。


【両翼の天使がいいんじゃないかな】

ここで第三勢力となったのがマズローの心理学であり、結論から言うとフロイト的なトラウマの癒しと、正の原動力の両輪が必要であり、所謂ポジティブ信者は後者だけの跛行状態です。

ケニー・オメガの片翼の天使(猪木の円髄切りみたいな技)です。フィニッシャーつまり終りです。

恐らく、日本人にとってのアドラー心理学はイカロスの翼でしかなく、この社会には既にアドラー心理学的な考えが浸透してしまっており、それでも社会が病んでおり、これを例えるとフリードマンの本に疑問を感じだし、ハイエクの本読んで「俺は間違っていなかった!」となるようなものです。(ピータードラッカーの『マネージメント』もエズラ・ヴォーゲルの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』とかも同じです)

ケインズ経済学、労働生理学、社会学、歴史学の本や、新約聖書を読んでみることです(聖書はあまり読みません)。

信じたいと思っている時点で、深層意識では信じていないのですから・・。


次回へ続く

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