ルサンチマンによる逆襲とその主要因


【嫉妬は社会の維持のイエローカード】

「成功した人を妬む社会に・・ゴニョゴニョ」小泉元総理

この発言を覚えている人も多いことでしょう。
実は嫉妬という感情は、まず同胞にしか抱かず、抱く人と抱かれる人との関係としては好ましくなくとも、社会現象としてはまだましな状態なのでしょう。(説明省略)

嫉妬ってのは権利の要求とある学者が発言したように、同胞間でしか抱かない感情なのです。まぁ、それでも社会の紐帯の維持としてはイエローカードの状態ですが。

で、それより深刻なのは敵意でありルサンチマンであり、もうこれは双方の関係の問題でなく、社会全体・国家規模の問題であり、今後の国体維持に関わってくることなのです。


【廃藩置県とは】

前回ちらっと紹介した内田樹氏と白井聡氏の対談本の「日本戦後史論」で、賊軍扱いされた東北の連中が唯一出世できるコースが陸軍であり、実はこの東北のルサンチマンが満州事変などの暴走へや大東亜戦争の原因になったのでというような仮説を述べたわけですが、それに関しては私も承服する次第であります。

まぁ、以前から私はこのようなルサンチマン仮説に関して別の側面で抱いていたわけで、ほぼこの本の対談で確証を得たわけです。(まぁ社会科学などは仮説の域を出ることはないと私はとらえていますが。)

要は、天皇のためだとか国家のためだとかスローガン掲げて戦争をけしかけるわけですが、東北の人は戊辰戦争の賊軍扱いを受けずっと藩閥政治に反感を抱いており、常に冷飯を食わされたルサンチマンを抱き続けてようやく陸軍のエリートコースが開けた瞬間、フロイトのいう抑圧された感情(フロイトは性欲に限定してましたが)が無意識のうちに噴出し、既存の国家を破壊する行為に結びついたということです。

こんなことがあるのかと思ってしまうのは、関東や関西などの地域の人の価値観であり、今でも東北の人(とくに福島)と山口の人とは仲が悪く、東北では今でもどこの藩ですかと日常会話にでてくるそうです。
廃藩置県によりそれぞれ別々の税の徴収制度だったのを中央集権化して、ようやく日本という近代国家の誕生にいたるわけですが、藩の帰属意識の影響は今でも強く残っており、奈良でも御所と三重の名張とでは方言で「よーっ、よーっ」と共通点があるそうです。(御所と名張が同じ藩だったかどうか知らないけど)
奈良県内でも言葉が微妙に違い、名張なんてむしろ奈良に地域的にも非常に近いわけですが、なぜか三重県であり中部地方です。

こんなことは丹後とか豊橋とか福知山とかの例でもわかるように、先祖代々の土地や伝統と県民性とは一致しないわけです。
県民ショーで京都代表で千原jrさんが京都の特徴を述べていますが、福知山と京都市内と異なり、木津町も京都ですが正確にはまったく文化圏が異なるのです。


【ルサンチマン】

話は逸れましたが、ルサンチマンを抱いた層の反乱としての現在のグローバル化という国体破壊と密接に関係していると思うわけです。

グローバリストの面子を見るとまず、日本の属性本意の閉鎖社会から締め出された連中が非常に多いわけです。
単身で米国に渡りアメリカンドリームをつかんだ人、生まれは貧しいが勉強して偏差値の高い大学に進学し弁護士になった人、女性というだけで結婚と子育てのために出世できない人、中卒、高卒で芸能人や職人として成功をした人など、かなりグローバリストが多いわけです。

なぜか?

そうです。既存の国家の政体の破壊衝動が現実として成功しても尚且つ、そのルサンチマンとして残っており、そうなるともう震災で痛手を受けた東北の人への温情よりも、ルサンチマンとしての激情が強くその結果、既存の国体の破壊衝動を開放せずには、もはや私人個人としてのアイデンティティを保てなくなるわけです。
成功したら気分も晴れやかで幸せになると思っていたが、現実的には逆で良家からの蔑視を感じ、ますますその破壊衝動が増すのではないのでしゅうか。

こういうタイプの人は成功者は、東北の震災などあると直後に2、3千万円の寄付なんて経費と思いチョロく出しますが、すぐにTPP参加に農協解体の断行と本性を表すわけです。

食べて応援!
しかし
TPPと農協解体で競争力つけて頑張れ!

まぁ、議論を避け空気に従い、この空体語(東北がんばれ)と実体語(苛酷な試練に耐えろ)の矛盾は日本の伝統ですから今に始まったことではありませんが。


【格差は受け継がれる】

そもそもグローバリストの成功者も今とは昔とは時代が異なり、アメリカンドリームをつかんだ人の時代の米国は、中流階級の層があつくチャンスで溢れており、日本国内でもバブル崩壊前に既に成功をつかんだ人が非常に多いわけで、別に公正により勝利を獲得したわけでもないと思われます。
現在、成功したその人が貧しい家庭に生まれて今つかんでいる成功をつかめるかといえば、まぁ非常に疑わしいわけです。

これに関しては非常に講演料が少し高いと一部では揶揄されている経済学者のクルーグマンのホームページに、グレート・キャッビーカーブなるものを紹介しています。

https://krugman.blogs.nytimes.com/2012/01/15/the-great-gatsby-curve/

2012年に労働経済学者のアラン・クルーガーらが公表したものですが、要は「格差は子供に受け継がれる」というものです。
アメリカンドリームなんて中間層の厚い時期の一瞬の出来事に過ぎないと数値により明証化されたわけです。


【ジャパン・アズ・ナンバーワンという神話】

で、私は日本のグローバリストの多くはパイプラインシステムと言われた、日本的経営という幻想や、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で有名な社会学者のエズラ・ヴォーゲルの神話により、そのシステムにより抑圧されていた連中のルサンチマンが噴出しただけの人物のではないかと思うわけです。

この伝説に意を唱えたのが社会学者の尾高邦雄先生であり、アベグレンやヴォーゲルの仮説は労働組合のある一部の大手企業を例に上げたでけで、現実としては乖離していると糾弾したわけです。

このヴォーゲルの本って日本でバカ売れで、日本人が自画自賛しちゃったわけですが、「菊と刀」のベネティクトもそうだけど、米国にとっては東アジアの重要国として徹底的に研究したその結果でしかないわけです。

尾高先生は日本の産業社会学の泰斗であるが、米国はその士気(モラル)の研究を企業から日本人の士気とも関連づけて研究しており、戦時中に何千人という社会学者・社会心理学者を雇用したわけであり、日本の敵国の国民性の研究には閉口する限りです。
レイトン報告なんて有名であり、日本に原爆落とす必要がなかったことは、その報告書から導きびきだされているからです。
戦後もソ連という東側に日本が取り込まれることが非常にまずく、それ故のヴォーゲルやベネティクトらの日本人の研究であり、今はもうその必要もなく中国人を対象にして徹底的に研究していることでしょう。(ライバル国に研究されていて、その内容に気持ちよくなって自画自賛って・・情けない)


【偏差値ルサンチマン】

私は80年代の閣僚が東大・京大・一橋すこし落ちて他の旧帝大・早慶ばかりだったと記憶しております。
東大法学部卒で大蔵省へのコースがエリートコースでありそこから国会議員になるのが王道であるとするのなら、そこが基準値となるわけでやはりそこから外れると劣等感を覚えるのは普通のことであり、同胞というのは同じ物を食べ同じ言語を話しはじめて共感を得るわけで、政治家としてはやはりそこからあまりにも乖離すると、ルサンチマンを強烈に抱くのは自然のことだと思います。

安倍晋三 成蹊大学卒
麻生太郎 学習院大学卒
菅善偉  法政大学卒

もちろん、偏差値と政治家の力量とが必ずしも一致するわけではありませんが、恐らく東大・京大・一橋がデフォの環境の中で放り込まれるとかなりつらいでしょうってことです。(上記三人の出身大学は一般庶民が卒業したのなら何ら臆することもないわけですが、基準が東大・京大・一橋となるとねぇ。自信のない属性本意の人間となるともう辛いでしょ。)

この偏差値ルサンチマンから、英語化教育とか大学の研究に成果を求めるとか、国立大学で文系を廃止するとか、既存のアカデミックなものを破壊し、付け加えるのならグローバル化により既存の日本を解体し、シンガポールのような全てが金という文化も伝統も何もかもぶっ壊した日本にしたくなるのではないかと。しかも無意識に。

だからリセットとかドリルとかいう発言が出てくるわけです。
だいたい一院制とか正気の沙汰じゃありません。
北朝鮮じゃあるまいし。

私は実はこうなったのもかつて日本的経営のような因習により、社会の隅に追いやられたルサンチマンを抱いていた連中がその時代の僥倖により成功し、その暁として既存の国体の破壊を試みているだけと分析しています。
ぶっちゃけ無意識に復讐しているわけです。
かつての東北出身の陸軍のエリートと同じようなものです。

 

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