ダーウィンの進化論とマルサスの「人口論」と格差社会ー後編


(前回にひきつぎ)

【進化論にもいろいろある】

 

反進化論にもいろいろあるように、進化論にも経済学の学派のようにいろいろあります。

1909年にダーウィン進化論はどん底の状態になるわけですけど、他の進化論にも

①ラマルク進化論
②跳躍進化論

とあり、①のラマルク進化論はキリンの首の長さが伸びるのは、木の高いところにある果実を取れるように意図的に進化するというものです。

②の跳躍進化論は突然変異によるもので、①と②はともに目的をもって進化すると解釈するわけです。

しかし、ダーウィン進化論は環境に適応できるものだけが淘汰されて生き残る、自然選択を前提としているわけです。
このような「適者生存」という言葉は、ダーウィンでなく英国の社会学者のハーバード・スペンサーが使った言葉です。

もともとダーウィンの進化論はマルサスの「人口論」の影響つまりは政治的哲学的影響を強く受けたものであり、純粋な生物学と乖離しているわけです。

しかしそれでも、ダーウィンの進化論にも追い風が吹くわけで、1940年代にDNAの発見により、創造論も目的論とも無関係であり人間を含むすべての生物の進化は、突然変異と自然選択の結果ととらえられことが可能となり、全ての生物は同じ源だという解釈が支持されるようになるわけです。以下のように図式だと言えるでしょう。

神学的・科学的→人間は最初から、別の場所にいたりする特別な存在

ダーウィンの進化論→単細胞と人間と源は同じ


【無機質なものから有機体を自然に誕生させることが困難】

 

ところが、これで当然これにも反論が続出するわけです。
源を同じくするのであるのなら、無機質から有機質への進化がなさればならなくなるわけです。
ダーウィンの進化論では源が同じくして単細胞から進化したとされてるが、まず忽然と単細胞が誕生したとはできないわけなんです。

それを認めるなら、ID理論や創造論と同じになるからです。神なり知的存在による超越した存在が介入したとなるからです。

そこで、次の過程を思いつたわけです。

無機質→バクテリア→単細胞

これも1953年にDNAの研究により打ち砕かれるわけです。
そもそも、有機体の基盤部となるリボ核酸が自然に形成されるのは不可能という結論にいたるわけですけど、当然全ての源を同じくするダーウィン進化論はそれをもくつがえそうとするわけです。

こういうことに対して、天文学者のフレデック・ホイルは

気体状の化学物質から有機体が生れる確率は、廃材が竜巻により巻き上げられて、ボーイング747を組み立てるのに等しい

無機質な物質から有機体の誕生を関連づけるのは無理としているわけです。


【カリウムアルゴン測定法によるいいかげんな推測】

 

もともとダーウィンの進化論自体が、化石の発見をもとに推測しているにすぎず、非常にその理論に無理あるわけです。

その年代の測定方法は、放射性同位体による測定法であり、カリウムアルゴン測定法が主であり、周りの地層やら火山岩やらから推測しているものが非常に多いわけです。
本当に精度の高い測定法は炭素14測定法なのですが、これが最大で

5万年前までしか測定できないわけです。(だいたい2~3万年前が限界とされている)

それにもかかわらず、アウストラロピテクスが存在していた年代が100~400万年前だとされているけど、これも単なるカリウムアルゴン法による測定法であり、周囲の環境だとから測定して推測するだけなのです。

この測定法を実施すると当然、珍事が起こるわけで、恐竜の地層と同じ年代に猿の化石が発見されたりとか可能となるわけです。
まぁ、例えば、恐竜の化石の横に炭素14測定法が出来ない年代の化石を置き、同じカリウムアルゴン測定法により同じ年代のものをおけば、同じ年代に存在したとなるわけです。
洪水や土砂崩れで混合されることもあるのです。

恐竜の年代に猿がいた

ともできるわけです。


【自然淘汰に固執したいダーウィン進化論】

 

これは社会科学によくある現象なのですが、自分の理論を正当化するために、都合のいいデーターをもってきて帰納的に説明するわけです。

では、なぜこれほどダーウィン進化論が生物の源は同じでありということに固執するのでしょうか?

これは、自然選択により環境に適応できるもののみが生き残るということを前提としたいからです。そうです、もともとマルサスの「人口論」がダーウィン理論の根底にあるからそうせざるを得なくなるわけです。

つまり、ダーウィンが自分の趣向に従い生物の進化と政治的・哲学的解釈とを短絡的に結びつけてしまったのです。


【日本と米国の競争思想は社会ダーウィン主義の影響が強い】

 

ここで当然、ダーウィンの進化論を利用したい連中が出現するわけです。

ハーバード・スペンサー(1820ー1903)がその典型であり、彼は裕福な家庭の引きこもりで、ニートの彼の著書は英国では注目されなかったわけですが、海を渡った米国では非常にうけたわけです。

そしておそらくほぼ同時期に、イェール大学の政治社会学教授であったウィリアム・グラハム・サムナー(1840-1910)「社会ダーウィン主義」を唱え、完全にダーウィンの進化論と社会とを合致させたわけです。

 

 

ここで受験戦争やらを経験してきた団塊jr年代にはなじみの考え方が形成されたわけです。

”人生とは熾烈な競争であり、適者のみが生存でき生存すべきである。社会の発展は競争のみによって強くなる。政府が支援すると自然淘汰を妨げる。”サムナー(私の要約)

こういう考え方に影響された人が日本にも非常に多いわけです。

 

サムナーは二元論の罠(これしかないと思わせる方法)を使いました。なかなか巧妙です。

”文明には単純な選択しかない。「自由と不平等と適者生存」を取るか、「不自由、平等、不適者の生存」をとるか。”1880年サムナー (私の要約)

ケインズが英国の自己責任論の思想をつきつめましたが、米国と日本に至ってはやはり、サムナーの影響が非常に強いと解釈しています。

2011年9月に共和党内の討論会で注目する発言があります。

(ある共和党員)”健康保険に入らないと決めていた若い男性が昏睡状態になったらどうするか?”

(ロン・ポール)”それこそ自由。自分でリスクを負うという自由”

この回答に共和党員たちは拍手喝采するわけです。

 


【ゾンビ経済学と社会ダーウィン主義の復活】

 

ここで注目したいのが、サムナーの生きた年代です。

>イェール大学の政治社会学教授であったウィリアム・グラハム・サムナー(1840-1910)が「社会ダーウィン主義」を唱え

1910年にサムナーは亡くなっているわけですど、これって世界恐慌前(1929年)なわけです。
つまり、西のマルクスこそミルトン・フリードマンリーマンショック前に亡くなったのと非常に似ているわけです。
自身の理論と矛盾した社会現象に対して、何のバッシングを受けることなくあの世に逃げぎったわけです。

サムナーとフリードマンの2人は最高な時期に死んだと解釈できるわけです。

知識人の無責任な発言とは裏腹に、戦前の世界恐慌で手痛い目にあった米国人は一辺して思想が変わるわけです。
大東亜戦争を経由してそれに勝利した米国は、福祉が行き届いた社会に以降するわけです。

いやゆる、ロバート・ラッシュのいう大繁盛期を迎えるわけです。

大繫栄 1947-1977

大不況 1981-2007

共産主義国家という止揚効果もあり、米国でも主流派経済学の影響を強く受けた連中らもいたわけですけど、それもしばらくは押さえつけられていたわけです。

共和党の大統領アイゼンハワーの時代でも非常に高い税率を維持していたけど、誰も彼を社会主義者だと批判する者はいなかったわけです。

しかしながら、不幸なことに60年代からインフレと失業の問題が浮上し、ミルトン・フリードマンという影響力のある人物がこれに便乗し、民主主義を蹂躙した圧制国家である共産主義諸国との単純な敵対的な構図をつくるわけです。サムナーとおなじです。

資本主義 VS 共産主義・社会主義・ケインズ派・福祉・反サムナー的社会学

もちろんこれにはマルクスやエンゲルスの功罪は非常に大きいわけですが、ここでサムナーの社会ダーウィン主義の思想が復活するわけです。


【なぜ新自由主義者はID理論を否定するのか】

 

ここでもしID理論でもオールタナティヴ・サイエンスでも創造論でも何でもいいのですが、

人間という知的存在が他の生物と異なる


となるという解釈が流布されると、社会ダーウィニズムが崩壊することとなり、そうなると当然こういう意見が出てくるわけです。

なぜ、社会的知的な存在である人間が同胞同士でカマキリのごとく共食いをするのか。

これを非常に恐れるわけです。新自由主義者たちは。

そもそも、社会ダーウィニズムは、人間も他の動物も源は同じくして同等であり弱肉強食の世界を維持して文明を発展させるのか、平等社会で退化した文明を選択するかの二択をつきつけなければ支持をえられないわけです。

人間は競争による優位性に立ち、環境に適応して進化したということでなければ、搾取を肯定できないわけです。

決して、人間が社会的存在であってはならないし、そう定義した進化論と同じく唯物論のマルクスやエンゲルスが民主主義を否定し革命論に固執した功罪は非常に重いわけです。

こういう意味では、右派キリスト教徒のブッシュが社会ダーウィニズムを肯定する一方で、ID理論も採用しろと発言したのは非常に不思議なわけです。

 

 

 

 

 

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